2022年度 アフリカ地域研究資料センター公開講座
シリーズ「アフリカと肩を組む」
内容
アフリカの人びとと社会は、COVID-19 感染症のパンデミックやウクライナ侵略などの人類共通の危機のために、新しい状況と困難に直面しています。今求められているのは、自らを高いところにおいて「救う」のでもなく、手前勝手な考えで利益を追うのでもなく、アフリカの課題と可能性を熟知したうえで、不透明さを増す時代の激動のなか、アフリカと肩を組むことではないでしょうか。今年のアフリカ公開講座では、開発協力、人材育成、感染症対応、自然との共生、都市開発に携わる講師陣が、豊かな学識と経験を基に、それぞれの立場からアフリカとともに歩むことについて語ります。
◆第1回「TICAD8で語られたこと―ポスト冷戦からポストコロナに向けてのアフリカ開発」(吉澤 啓)
・・・1993年、日本政府は、ポスト冷戦期の新たな外交戦略を模索する中で、当時国際社会の関心が低下した「アフリカ開発」を敢えて取り上げ、アフリカ開発会議(TICAD)を開催しました。この試みは幅広い支持を得てTICADは定期的に開催され、今年8回目の開催を迎えるに至りました。コロナ感染拡大とロシアのウクライナ侵攻により、新たな国際秩序の到来が予感される中で、TICAD8はどのようなメッセージを世界に発信したのでしょうか。30年近くに亘りTICADに継続的に関与してきた講師が、ポスト冷戦からポストコロナへのTICADの変遷とアフリカ開発の展望を語ります。
◆第2回「人材育成のはるかな道―ザンビア大学獣医学部の発展に寄り添って」(奥村 正裕)
・・・約40年前、北大の若手教授2名がザンビアを訪れ、彼らの帰国報告をもとに同国の獣医師育成教育設立支援を開始することが決断されました。本学が関連したザンビア大学への支援・交流は、JICA技協に始まり、科研費、教育支援GP、J-grid/AMED、SATREPSなど、途切れることなく継続されています。その間、地域の獣医学・感染症研究におけるザンビア大学卒業生のプレゼンスも大きくなり、ザンビア大学は北大にとって非常に重要なパートナーとなりました。これまでの経緯を踏まえ、何を見据えて両大学の関係の発展すべきかについて考察します。
◆第3回「新型コロナを超えて―地球規模の課題としての感染症に向き合う」(稲場 雅紀)
・・・「アフリカと「力を合わせる」ということに焦点を当てながら、保健の分野で重要なCOVID-19やユニバーサル・ヘルス・カバレッジといった問題について、その概要を説明します。次に、アフリカの人びとや組織と、世界、そして日本の人々や組織との間で、どのような協働や対話がみられるか検討します。また、ワクチンを含め、世界全体の公平な医薬品アクセスの実現に向けて、現在の格差をどう克服していくかについて、様々な取り組みを紹介します。
◆第4回「生物と人間の境界に立つ―二つの多様性のバランスを求めて」(西原 智昭)
・・・アフリカ熱帯林の生物多様性を維持する生態学的礎石種でありながら絶滅危惧種となっているマルミミゾウの生存と、その象牙を長い歴史の中で使ってきた人間による文化遺産は共存し得るのか?また先住民族の依拠してきたその熱帯森林とそこで培ってきた彼らの伝統知や生業は、人間の高度科学文明化の波が引き起こしてきた大規模な森林開発と共存できるのか?地球環境をも左右する熱帯林生態系の危機に対して、その森林環境音と先住民族の伝統的芸能にも焦点を当てつつ、今われわれ人間がなし得ることを問います。
◆第5回「アフリカの都市を作る―格差、汚染、混雑を超えて」(坪池 明日香)
・・・現在、世界人口の半分以上(35億人超)が都市に居住しており、2050年には約70%に増加すると予想されています。中でも、アフリカの人口増加のスピードは著しく、2025年にはメガシティ(人口1,000万人級の都市)のほとんどがアジアに集中する一方、2100年にはそのほとんどがアフリカに位置すると予測されており、アフリカでは人口増加と都市化が同時進行しています。そのような中、アフリカの都市を持続可能かつLivableな街とするためにどのような取組がなされているのか、どんなことに着目すべきか等をご紹介します。
講師
◆第1回 2022年10月15日(土)講師:吉澤 啓 (国際協力機構アフリカ部計画・TICAD推進課)◆第2回 2022年11月5日(土)講師:奥村 正裕 (北海道大学大学院獣医学研究院・教授)
◆第3回 2022年12月10日(土)講師:稲場 雅紀 (アフリカ日本協議会・理事)
◆第4回 2023年1月21日(土)講師:西原 智昭 (星槎大学共生科学部・教授/WCS(Wildlife Conservation Society)・自然環境保全研究員)
◆第5回 2023年2月18日(土)講師:坪池 明日香 (国際協力機構社会基盤部・課長/京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・特任准教授)
日時・場所
2022年10月15日~2023年2月18日(土)
15時00分〜17時00分(開場14:30)
オンライン(Zoom)、京都大学稲盛財団記念館3階 大会議室(ハイブリッド形式)
対象
会場での受講定員は30名(希望者多数の場合は抽選)
参加費
1講座 1,000円 (5講座 4,000円)
お申し込み
1)E-mail:manabiafrica[at]gmail.com([at]は@に変更してください)
(koukaikouza2022[at]gmail.com から manabiafrica[at]gmail.com に変更しました)
2)郵便: 〒606-8501 京都市左京区吉田下阿達町46
京都大学アフリカ地域研究資料センター 公開講座係
各回、開講日の前週金曜までにお申し込みください。
お申込みいただきましたら、5日以内に受講受付と受講料振込のご案内を返信いたします。 入金確認後、当日までに会場での受講案内、あるいは参加URLをお送りします。講座の映像は、開講日以降もオンラインで見ていただけるよう、アーカイブを公開します(期間限定)。
お問い合わせ先
京都大学アフリカ地域研究資料センターTel:075-753-7803
manabiafrica[at]gmail.com([at]は@に変更してください)
ご注意・備考
*会場とオンラインの両方で開講予定ですが、感染状況によっては、 オンラインのみになる場合があります。
*会場併設の駐車場では、一般の方の駐車スペースを設けておりません。ご来場の際には、公共の交通機関をご利用くださいますよう、よろしくお願いいたします。