京都大学アフリカ地域研究資料センターは1986年4月に京都大学学内共同利用施設として創立され、当初は乾燥帯生態系研究部門、湿潤帯生態系研究部門、歴史・先史客員研究部門の3部門、そして情報資料室および事務室として発足しました。本センターの設立は、京都大学の研究者が1958年以来、継続してきたアフリカにおける活発なフィールド調査とそれによる研究成果のうえに築かれているといえます。

現在、新型コロナウイルスの感染症(COVID-19)が世界各地で拡散し、変異株の流行もあって、アフリカ諸国においても感染者や死亡者が増えつづけています。国や地域によっては、都市のロックダウンや人々の移動・経済活動の制限、警察や治安部隊による感染対策の徹底などもおこなわれています。景気や雇用の悪化による治安の悪化、政治不信からくる抗議集会やデモ、暴動などの発生も懸念されています。ワクチン接種や治療法の開発が進む一方で、感染拡大やそれにともなう社会情勢の急激な変化が引き起こされることも予想され、新しい生き方、生活様式が模索されているところです。

京都大学のアフリカ研究における特徴のひとつは、フィールドワークにあるといえます。われわれはアフリカの姿を明らかにするためフィールドワークをおこない、1年以上の長期にわたって若手研究者が渡航することもあります。2020年3月以降、アフリカにおける本格的なフィールドワークを再開できていないという現実がありますが、渡航の再開をみすえて研究成果の発信、国内・国際学会のオンライン参加、そしてオンライン・ツールを活用した、アフリカをはじめ世界各地の研究者との共同研究を継続しています。また、さまざまな大学・研究機関との学術交流を深め、学術交流のたしかな基盤をつくる努力を続けています。

今年で35周年をむかえるアフリカ地域研究資料センターでは、京都大学におけるアフリカ研究をこれまで以上に推進し、国内および世界的なアフリカ研究の拠点となるべく、研究活動を続けていく所存です。本センターのホームページをリニューアルし、これまでの活動をアーカイブとして記録しつつ、今後も学術研究の成果を発信し続けていきます。ひきつづき、みなさま方のご協力をよろしくお願いいたします。

京都大学アフリカ地域研究資料センター
センター長 高橋 基樹